『ラピス・リ・アビス』プレイレビュー その1
長年ゲームで遊んでいると、不思議と馬が合う……というか、自分の琴線に触れるゲームばかり出すメーカーというものができてくる。
俺にとってのソレは、古くはセガだった。
『ファンタジーゾーン』、『スペースハリアー』、『エイリアンシンドローム』、『ファンタシースター』、『シャイニングフォース』……。これはほんの一部で枚挙にいとまがないのだが、多くの友人たちがファミコンやスーファミに走っていた時代、俺は頑なにマスターシステム、メガドライブを発売日に購入して、ひとり黙々と遊び倒していた。前出のどのゲームも、俺の琴線に触れまくってくれたから。
それから30年(!)ほどが経過し、いまそのポジションで俺の脇をコチョコチョとくすぐるメーカーがあるとすれば、それは日本一ソフトウェアかもしれない。『ディスガイア』シリーズを筆頭に、めちゃくちゃハマって本まで作ってしまった『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』がそう、『魔女と百騎兵』がそう、海外のインディー作品のローカライズだが、『Yonder 青と大地と雲の物語』や『アンエピック -オタクの小さな大冒険-』も大いに楽しませてもらった。
そんな日本一ソフトウェアから11月29日に発売された、プレイステーション4、Nintendo Switch用ソフト『ラピス・リ・アビス』にまたまた心をつかまれたので、まださわりしか遊べていないけどインプレッションを書きたいと思う。
『ラピス・リ・アビス』はジャンルで言えばアクションRPGだ。
板野広和氏デザインのキュートなキャラクターたちが、最大4人重なる“DANGO”という状態でパーティーを組み、わらわらと敵が湧いて出るダンジョンを縦横無尽に駆け巡ってお宝を持ち帰る……というシステムである。画面は、奇をてらわない2Dのグラフィック。敵も味方もダンジョンのオブジェクトも、ド派手なエフェクトすらもかわいいという、いかにも日本一ソフトウェアらしいルックス。この部分だけ切り取ってみても、「遊びたい!」と思う人がいるのではなかろうか。
ゲームの流れは、つぎのようになっている。
・拠点のギルド商会で探索するダンジョンを選ぶ
・仲間を選んでDANGOを作る
・ダンジョンを探索する
・お宝(“オタカラ”という)を持ち帰る
・装備を整え、再びギルド商会へ
システム自体は、じつにオーソドックスだ。それゆえにとっつきやすく、誰もが違和感なくゲームに入っていくことができると思う。
しかしオーソドックスがゆえに、これだけではよくある量産型のRPGと大差ない。何を以って、『ラピス・リ・アビス』はアイデンティティーを主張しているのか?
思うに『ラピス・リ・アビス』というゲームは、パラメーターの数値のほとんどを“爽快感”に振ったRPGなのではなかろうか。もちろん、キャラクターのかわいらしさだとか派手なグラフィックだとか、宝を持ち帰って抽選で一喜一憂するハックアンドスラッシュの楽しさとかとか、評価されるべき要素はいくつも積まれているんだけど、難しいことは考えずにひたすら攻撃して敵を倒すことが気持ちよくて仕方がない。
こういったゲームでは、油断してモンスターハウスのようなところに迷い込んで敵に囲まれた瞬間に、
「うげええええ!! 死んだー!! 終わったー!!><」
と絶望するものだが、『ラピス・リ・アビス』においてはそんなことにはならず、逆に、
「おおおお!! 敵だ敵だ!! ウジャウジャだ!! うっひょー!! 斬りまくるでぇぇぇええ!!!」
と、うれしくなってしまうのだからおもしろい。心が“破壊の快感”に支配されてしまうのだ。
とはいえもちろん、ただボタンを押しまくっていればいいだけの大味なアクションとは違い、頭の上に乗せているDANGOのメンバーを1匹だけ投げつけて攻撃する“アシストオーダー”、DANGOのすべてをブン投げてくり出す必殺の“エクストラオーダー”などなど、状況によっていくつもの技を使い分ける必要がある(と思う。まだテキトーにやってるだけでどうにかなっているけどw)。というのも、効率よく敵を撃破することで貯まる“オタカラポイント”によって、クエスト終了後にもらえるオタカラの種類やレア度が変わってくるので、闇雲に蛮勇を振るっているだけではダメなのだ。
また、ゲームが進んでいけば当然、それぞれのキャラクターの特性を活かした立ち回りが必要になってくると思うので、序盤からいろいろ試して慣れておかないとアカンとも思う。ちなみに、キャラクターには以下の8種類がありますよ。
◆ハンター
◆ネクロマンサー
◆シールダー
◆メイド
◆ガンナー
◆ウィザード
◆デストロイヤー
◆ビショップ
まだ俺はすべてのキャラクターを使えているわけではないが、これからじっくりと育てていきたいと思っている。
てな感じで『ラピス・リ・アビス』は、抜群の爽快感とハクスラのお宝ハンティングの楽しさを含有した、アクションRPGの佳作だと思う。気軽に遊べる良さを持ちながら、意外なほど凝ったシステムも積んでいるので、腰を据えて長く遊びたいなと思った。2DのアクションRPGが好きな人には、ぜひとも触ってみてほしい。
最後に、ひとつだけ残念なところが。
このゲーム、キャラクターが非常にスピーディーに動いてくれて、それが爽快感にもつながっている。が、カメラがつねにプレイヤーキャラ中心に動き、背景がちょっと遅れてついてくる仕様なので(わかるかな?)、苦手な人は目が疲れるかもしれない(俺がそうなんだが)。キャラクターの動きが速い分、余計にそう感じる。もっと引きの画面にするか、カメラをある程度固定にできれば、さらに快適に遊べるのになぁ。
とはいえ、買ってよかったです『ラピス・リ・アビス』。昨日からベッドにニンテンドースイッチを持ち込んで、寝るまでのひとときのオトモに『ラピス・リ・アビス』を遊んでおります^^