【パズドラ部】第863回:ストーリーダンジョンができるまで(2)

大塚角満の熱血パズドラ部 第863話

 

前回の続きとなる、パズドラのストーリーダンジョンに関する裏話……というか、ソニア編が完成するまでのエピソード。

王道でいこう!!

前回の記事の最後に、

 

“開発メンバーの方々と議論をしつつ、最終的に行きついたのは、

「少年誌にあるような、王道のシナリオでいきましょう」

というものだった。”

 

と書いたが、だからと言って瞬時に、

「よーし、王道王道……カタカタカタカタ……できた!! これで完成!!」

なんてことにはならない。当たり前だが。

それどころか、当初考えていた以上にソニア編のシナリオは“難産”となる。というのも、ソニアゆえの制約……というか、“考えなければいけないこと”が、ズデーーーーン! と目の前に横たわったから。

前々からプレイ日記やコラムで書いてきたことだが、パズドラというゲームはいい意味で確固とした世界観が存在せず、モンスターの設定についても多くが語られていない(一部、公式サイトにストーリーが載っているけど)。だからこそプレイヤー側の思いや情熱でそのあたりを補完し、楽しむことができていて、俺も勝手にキャラどうしに掛け合いをさせた妄想記事を書いたり、好きなモンスターに思い入れたっぷりな恥ずかしいエッセイを綴れたりしている。そういう意味では、ものすごく書き手に優しいタイトルと言うことができるのである。

さて、そこに来てのソニアである。

数行前に“確固とした世界観がなく、モンスターについても語られていない”と書いたが、じつはこのソニアだけはその枠組みから逸脱している存在なのだ。

ソニアは特殊なキャラだった

ソニアはすでに、パズドラ本編以外にもたびたび登場していて、キャラも“立った”状況にあった。

たとえば、パズドラのアニメ、コンシューマー版の『パズドラZ』や『パズドラクロス』などなど……。

“クールビューティー”、“冷静沈着”、“寡黙”、“男っぽい”

そんなキーワードに彩られたソニアは、しゃべりかたや語尾の使い方にも味付けが施されていたので、そこからちょっとでも逸脱すると、

「なんか……このソニア、別人じゃね?」

そう思われてしまうのが確実だったので、まずは“それに寄せる”ことが俺のミッションとなった。確立されているソニアのアイデンティティを、このストーリーダンジョンのソニアにも同じように吹き込まなければいけないというわけだ。

でも考えようによっては、「すでにキャラが立っているのなら、書きやすいのではなかろうか」と捉えることもできる。語尾や言葉の言い回しは“他のソニア”のソレを徹底してマネして、寄せていけばよさそうなものだからな。

しかしねえ……。

やってみるとコレが……思っていた以上にたいへんなんだな!!w

言い回しを、どうするのか?

あまり詳細を書くとネタバレになる恐れがあるので、簡単な例をひとつだけ。

序盤の序盤、ティラが仲間として加わるシーンのやり取り。

完成版でソニアは、パーティーに加わったティラにこんな言葉を投げかける。

ソニアのセリフ

・ソニア
そうか。ではお願いしよう。
私は龍喚士のソニア。
よろしく、ティラ。

このセリフ、第1稿では↓このようになっていた。

・ソニア
ありがとう! よろしくね、ティラ! 

……もう、どっちがソニアっぽいのか、一目瞭然www

当初、俺は、

「クールでぶっきらぼうだけど、時折見せる女子っぽい仕草やセリフがかわいい子がいいな」

と考えていたので(いまでもそう思っているけど)、第1稿はそのような言い回しになっているが……コレだとさすがに、イメージとかけ離れてしまう。そこで再度、ソニアの人となりを徹底的に考えて、最終的には現在実装されているセリフになったのである。

続く。

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