大塚角満の熱血パズドラ部 第743話
昨夜--。
ランクが800になったことに気をよくして、
夜、馴染みのバーに酒を飲みに行った。そこは、ズラリと居並ぶ女性がバーテンダーを務めているという極めて特殊な飲み屋で(ぜんぜん特殊じゃねえ)、顔見知りのスタッフも多い。いつも賑わっている店なのだがその日は比較的空いていて、女性バーテンダーたちも手持ち無沙汰の様子だった。
「よっこらせ……」
四十肩をかばいながら席に着くとさっそく、顔見知りのスタッフがおしぼりを持って現れた。そして俺の顔を確認するなり、注文も聞かずにこんなことを言ったではないか。
「大塚さん!! サンリオコラボガチャ、回しました!?」
その人にとっての当たりキャラとは?
その子……Yちゃんは半年ほど前からこの店で働き始め、すでに何度か俺に着いたことがある。俺は、
「レモンサワー。お酒と炭酸ナシでおねしゃす」
と、ただのレモン汁を注文してから、Yちゃんの問いに答えた。
「回した回した!! 俺にしたら“回しまくった!”と言っていいくらい、魔法石突っ込んだわ!!」
実際、コラボガチャにこれほどの魔法石を投資したことは、過去に一度もなかった(と思う)。それだけ目当てのウィッチ・ゼラキティが手に入らなかったということなのだが、どうやらそれは、俺だけじゃなかったようだ。Yちゃんが目を見開きながら、「私もです!!」と言った。
「私も同じです!! ぜんぜん当たりが出なくて……。けっきょく意地になって、大当たりを引くまで回し続けちゃいました^^;」
俺は「ははは」とイケメン風に笑ってみせた。
「あははは。そうなっちゃうよなーw でもよかった。俺だけじゃなくてwww ……で、最終的には手に入ったの?」
Yちゃんは元気に「はい!!」と首肯した。
「出ました!! それを確認して、「ハイ、今回のガチャは終了!」って割り切って、そこから回していませんwww」
俺、「うんうん」と頷く。
「そりゃよかったw 俺は17回回しても出てくれなくて、モンスター交換で手に入れたけどね……。そういう意味では、Yちゃんは勝ち組だよ」
ここで俺は、運ばれてきたレモン汁をグビリと飲んだ。そして、Yちゃんにも1杯ご馳走してから、何気なく言ったのである。
「じゃ、念願の当たりキャラを見せてよ!」
言われたYちゃん、うれしそうに破顔した。
「はい!! 見てください見てください! かわいいんですよ~♪」
うんうん。ウィッチ・ゼラキティは、確かにかわいいよな。進化前の大魔女ハローキティも、めちゃくちゃキュートだし。そりゃあサンリオキャラ好きの女の子はたまらんだろう。メロメロになるよなあ。
そんなことをぼんやりと考えていると、Yちゃんが、「あ! いました! この子です♪」と言って、スマホの画面を俺の眼前に突き付けてきた。そこにいたのは……(((;゚Д゚)))
※スクショは便宜的に、角満の画面を使っております。
おい、ちょっと待て。
俺、若干震える手でグラスを持ち上げ、酸っぱいレモン汁を口に含んだ。そして心を落ち着けてから、Yちゃんに言う。
「Yちゃん、違うキャラが映ってるでwww コレじゃないやろwww」
Yちゃん、「え?」と戸惑いながら確認し、再びスマホを俺に突き付けてきた。
「この子ですよ~~~♪ 大当たり!!」
そう告げる画面に映っていたのは……(((;゚Д゚)))
これポチャッコじゃねえか!!!!
俺、アワアワと泡を噴きながらYちゃんに詰め寄った。
「こここ、これ、大当たりちゃう!! 大当たりは、ウィッチ・ゼラキティでしょ!?! こいつなら俺も、掃いて捨てるほど持っているわ!!!」
言われたYちゃん、「えー!!」と驚きの表情を見せる。
「えーーー!! いいなあ!! 私ももっと欲しいです!!>< ポチャッコ、サンリオキャラの中でいちばん好きなんですよー♪ 1匹でも、引けてよかったです♪」
な、なるほど……。確かに、パズドラはそういう側面もあるよな。強さはそれほどじゃなくても、ただただ好きなキャラだから使い続ける……というね。イラストがすばらしい、このゲームらしい特徴だよね……。
俺は「まあでも、そういう視点はすばらしいと思うわ」と感心しつつ、再度Yちゃんに言った。
「サンリオコラボガチャ、けっこう回したんでしょ? 他にはどんなのが出たの?」
Yちゃんは「それが、ハズレばっかで……」と言いながら、スマホを俺に手渡した。「どれどれ……」と見させてもらうと……!
ゼラキティいるじゃねえか!!!!!(怒)
「いるいる!!! 当たりの人、おりますよ!!!(驚) 悪いこと言わないから、コレ使いなさい!!! ポチャッコよりも、ぜんぜん当たりですがな!!!」
しかし、ポチャッコLOVEのYちゃんには馬耳東風で、
「いいんです♪ 私はポチャッコがいれば、それで満足なんですから♪」
そう言っていつまでも、ポチャッコを愛で続けるのであったw
おしまい。
“超熱血パズドラ部”に関するお知らせ
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このたび、さまざまな理由から、超熱血パズドラ部を当サイトから切り離し、生まれ故郷である“ファミ通App”に引っ越しさせることになりました!