【モンハンワールド】逆鱗日和 第32回:神出鬼没の爆撃機・バゼルギウス(2)
前回の続き。
そう心に決め、ヤツ……“爆鱗竜・バゼルギウス”の痕跡集めを始めることにした。
「なるほど、“バゼルギウス”か……。……爆ぜる飛竜ハゼルヒリュウはぜるひりゅうバゼルギウス……ってことなんだろうな」
まったくそうじゃないであろうことをつぶやきながら、上位クエストのフィールドに飛び出す。すると……いとも簡単に、バゼルギウスの痕跡を発見することができてしまった。それもひとつやふたつじゃなく、たくさん……。
あの、神出鬼没の爆撃機は場所も相手も構わずに飛来し、好き放題に暴れて、あたりを焼け野原にしているのか−−。
その見境のなさと、血の通わない惨劇マシーンのような行動に、思わず身が震えた。“奮えた”のではない。ブルブルとした寒気を覚えてしまったのだ。俺の脳裏に、『モンスターハンター2(ドス)』で初めて出会ったラージャンと、『モンスターハンター3(トライ)』で遭遇したイビルジョーの姿がよみがえる。
あいつらも、掛け値なしに怖かった……。本気で、チビってしまうほどに。
でもバゼルギウスは、暴力の権化のようなラージャンとも、狩猟本能の塊のようなイビルジョーとも違う、異質な恐怖をまとっている気がしてならない。
あの、巨大な身体に無理矢理くくりつけられたかのような、小さな顔……。バランスの崩れた、異形の心霊写真を見てしまったときのような恐ろしさが、バゼルギウスからは迸っている。できることなら、あまり関わり合いになりたくない人種(?)なのだが、フィールドに現れてしまう以上は……相手になるしかないじゃないか!
そんなある日。
いつものように上位のクエストを受け、フィールドに出ていくと……あるわあるわ、バゼルギウスの痕跡が! あの野郎……また身勝手に飛来しては、そこら中に爆鱗をまき散らしていやがるな……!
あいつを止めないと−−!
小さな正義感も蓄積されると、やがて恐怖を凌駕し、怒りへと昇華される。
「導蟲よ、追跡するは“あの飛竜”だ!! バゼルギウスのところへ、俺を連れていってくれ!!」
背にガンランスの重みを感じながら、導蟲の後を追ってフィールドを駆ける。防具に圧倒的な不安があったが……ガンランスの盾があれば、どうにかなるに違いない!!
そして−−。
バゼルギウスのもとには、すぐに到着した。近くにはクエストの目的であるリオレイアがいて、必死にバゼルギウスを威嚇している。
それにしても……バゼルギウスはデカい。
リオレイアは目いっぱい翼を広げて吠えているが、この巨大飛竜を前にしたら小鳥がさえずっているようにしか見えないではないか。
加えて、あのBGM……。
クラシックのような荘厳なメロディーがバゼルギウスの無機質な狩猟本能を増長させ、フィールドに負のオーラが満ちていくのがわかる。こ、こええ……! やっぱこいつ、おっかねえよ!!
この異形のモノを追ってきたはずなのに、いざ現場にたどり着いたら足が動かなくなってしまった。レイアと対峙しているところに割って入って、ガンランスを振るう……なんて、できるわけがねえ……((((;゚Д゚))))
どうしよう……。逃げるか?? でも、こいつを狩るために、勇んでここに来たのに……!
そのとき。
狩り場で逡巡するという愚挙を犯した俺を、バゼルギウスが一瞥(いちべつ)した。そして翼を広げて、こっちに……!
「う、うわああああ!! く、来るぅぅううう!!?」
恐慌を来した俺が大慌てでガンランスを構えようとすると……なんとバゼルギウスはバッサバッサと雄大な翼を広げて、大空に向かって飛び上がってしまったではないか! そして、ビビる俺をせせら笑うように一顧だにせず、どこぞに飛んで行ってしまった……! その瞬間、俺の怒りが爆発した。
「ににに、逃がすかよ!! ま、待ちやがれ!!」
バゼルギウスが飛び去った方向に、俺は走り出した。でも……その足取りは、重い。そして心に去来したのは、言いようのない安堵……。
けっきょく立ち止まってしまった俺は、立ち去る範馬勇次郎を見たバキと同じような、情けないセリフを叫んでいた。
「……何を安心してんだ俺はッッッ!!!!」
拳を交える前からわかってしまった、圧倒的な戦力差。でもこの出来事が、上位クエストを進めるうえでの最高のモチベーションになった。
……よーし、決めた! バゼルギウスと渡り合える装備を作ろう!! そのために……素材集めに全力だ!!
決意も新たに、次回に続く。
『モンスターハンターライズ』プレイ日記 逆鱗ぶいっ! Vジャンプレイにて連載中!