【モンハンワールド】逆鱗日和 第15回:地図を読めない男たち
いままでのシリーズ作品とはガラリと変わった作りとなった『モンスターハンター:ワールド』。もっとも目立つ部分で手が加えられたのは“フィールド”ではなかろうか。
“モンハンのセオリー”でもあったエリアチェンジがなくなり、フィールドはすべて地続きに。“高さの奥行き”がめちゃめちゃ深まり、横だけでなく縦にも大きな世界が形作られた。いままでのソレが“平野での戦い”と思えるくらいに。
そこで導入されたのが、ハンターのナビ役を務めてくれる“導蟲(しるべむし)”だ。モンスターを追跡してくれるのはもちろんのこと、リアルゆえに背景に溶け込みがちな採取場所を教えてくれたり、つかまれるツタの位置も示してくれたりする。あまりにも有能なため、採取場所やモンスターの痕跡が多い場所だと、
「さあ散れ! ちりぢりになってピカピカ光って、怪しい場所を全部ハンターさんに教えてやるんだ!!」
って感じに律儀に注目ポイントを教えてくれようとする。そのアピールはまるで、いいことをして褒めてもらおうとする飼い犬のそれに通じ、結果、
「ご主人! こっちこっち!」
「いやまずは薬草を! これを先に!」
「鉱石のほうが魅力的ですよ!」
「こっち!!」
「こっち!!」
「うわああああ!!! 痕跡どれだぁぁあああ!!!」
なんてことにしょっちゅうなるので、フィールドでは努めて冷静でありたいものである。
この導蟲に、俺も目黒もβテストのときから頼りっぱなしだった。広大で奥行のあるフィールドでも、導蟲の導き通りに進めば目当てのモンスターに出会うことができ、順当に狩猟することができたから。でも次第に麻痺し、導蟲に頼っていることが頭から抜けたのだろう。くり返しくり返し古代樹の森に通ううち、βテストの期間中に、
「このフィールド、ほぼほぼ覚えたね」(俺)
「ですね。導蟲がいなくても大丈夫かと」(目黒)
なんて鼻息荒く語るようになった。結果、自信満々で本サービスのスタートを迎えることになったのである。
そして。
ソフトが発売され、目黒とふたりで古代樹の森にクエストに出掛けた。初期も初期のクエストだったが(ドスジャグラス2頭だったかな)、我々はモンスターの討伐はもとより、勝手知ったるフィールドを自由自在に駆け回って採取もガンガン行おう……なんて話し合っていたのである。
しかし5分ほどフィールドをさまよったのち、我々は妙な違和感を覚えた。その違和感を、そのまま俺は口にする。
「おっかしいな……。あれほど完璧に覚えたと思っていた古代樹の森だけど……ぜんぜん地図が頭に入っていないんですが……!w」
すると目黒が、おずおずと同調した。
「え!! じつは俺もさっきから、自分がどこにいるのかわからなくなっていたんですが……!ww ……どこだここは!!」
そうなのだ。
完全にマップを覚えたつもりになっていたが、本当に“つもり”だけで、俺たちは古代樹の森で迷子になっていたのである。深い森を彷徨いながら、目黒が震えた声を出した。
「俺、毎週のようにクルマで近所のショッピングモールに行くんです。でも……毎回ナビを見て行っているためか、いまだに道を覚えていないんです……!! もう500回くらい通っているのに……!」
俺も小声で白状した。
「じ、じつは俺も……東京に出てきて25年になるけど、いまだに新宿駅がどうなってるのかわからないんだが……! ことあるごとに館内マップとかナビを見ないと、目的の場所にたどり着けない……!」
我々は同時にうなずき、つぎの結論に達した。
「俺ら……ナビ(導蟲)に頼りすぎて、地図を読めなくなってるおっさんだぁぁああ!!」
けっきょく、ドスジャグラスを見つけることにも苦労し、無駄に時間を浪費したのち、ヘトヘトになって拠点に戻ってきた。そして俺たちは口々に、
「文明の利器に頼りすぎたらアカンな……」(俺)
「はい……。ちゃんと道を覚えないとダメですね……」(目黒)
と言い合い、“フィールドを頭に入れること”を誓い合ったのだった。
……って、それ基本中の基本だろ!!w
と言わないで。
おしまい。
『モンスターハンターライズ』プレイ日記 逆鱗ぶいっ! Vジャンプレイにて連載中!