ディアブロ3プレイレビュー 第1話
まもなく、12月27日に発売されるNintendo Switch用ソフト『ディアブロ III エターナルコレクション』。『ディアブロ III』のオリジナル版に、拡張版である『リーパー オブ ソウルズ』、『ライズ オブ ザ ネクロマンサー』も加わった、“完全体の『ディアブロ III』”として発売されちゃうのである!!
しかも!!!
このニンテンドースイッチ版に関しては、インターネットを利用したマルチプレイだけでなく、ローカル通信でつながった最大4人の協力プレイもできてしまうという神対応!!!
じつはワタクシ、
「もしも無人島に3本のゲームを持って行けるとなったら、何を持って行く?」
と質問されたら、迷うことなくその1本に、
「『ディアブロ II』ッッ!!!!」
と断言できるほどの『ディアブロ』好きである(そこは『III』って言えよ)。『ディアブロ III』に関しても、PCの英語版を皮切りに、プレイステーション3版、プレイステーション4版と渡り歩いてきた実績の持ち主だ。そんな俺がず~~~~~…………っとやりたいと思っていたのが、まるで『モンハンポータブル』シリーズを遊ぶがごとく『ディアブロ』を楽しむローカル通信プレイ。そそそ、それがついにッ!! ニンテンドースイッチにより実現されてしまうッ!!!
というわけで、あまりのうれしさにこのブログを作ってしまった。……ゲームのことを専門に書く“角満GAMES”というブログを運営しているにも関わらずwww
いやでもね、最初から長く書くつもりだったら、こうして独立したサイトを作っちまうのが読みやすくていいかな、と。なので今後も、このようなタイトルに出会ったら、じゃんじゃんブログを立ててしまおうと思っている。
さて、まもなく発売されるニンテンドースイッチ版の『ディアブロ III』だが、そのプロローグの意味も込めて、かつてプレイステーション版の『ディアブロ III』が発売されるときに書いたインプレッション記事を掲載したい。俺がいままでどのようなスタンスでこのシリーズに接してきたのかがわかる文章となっている。前後編の2本立てです!
▲写真はすべて、イチから始めたばかりのプレイステーション4版で撮ったものです! 装備がショボくてすみません!w
※2019年11月2日に、ここで書いている『Diablo III』の続編となる『Diablo IV(ディアブロ4)』が発表に!! それらに関する記事もまとめてありますので(下のリンクです)、この機会にぜひ!
ディアブロに魅せられた男
2014年1月30日発売予定の『Diablo III(ディアブロ III)』(※注 プレイステーション3版のことです)。今回は(もうすぐ)発売記念として、『Diablo』好きな“ディアブラー”である大塚角満のインプレッションをお届けしよう。
自宅のPCを変えたくなるゲーム
2012年春、我が家のPCのメモリーが増強され、モニターも新しいものに切り替わった。加えて、かなりのパワーがあるノートPCも1台新調……。総額を考えるとかな~り痛い出費ではあったが、我が家では数年に一度、必ず同じ行事が行われる。
「時代に即した、単なるPCの買い替えだろ?」
もしかすると、そう思う方がいるかもしれない。
「7年に一度の御柱大祭(長野県の有名な奇祭)に合せて新調しているとか?」
そんな風に考えた方も、きっとひとりやふたりはいるだろう(いねーよ)。
でもじつは、理由はどちらでもないのだ。“時代に即した”という点はある意味その通りなのだが、きっかけはもっと単純なところにあるのである。大塚角満のPCが買い替えられる理由は、たったひとつしかない。それは……。
「『ディアブロ』の新作を快適な環境でプレイしたいいいいいぃぃぃぃいい!!!」
これである。1台ではなく2台なのは、1台目で快適なプレイができなかった場合に、2台目に乗り換えるため(笑)。つまり、スペックの違う2台を新調しているというわけだ。この大盤振る舞いは、1作目が発売された1997年からずっと続けられている。
「そこまですんのかよ!!!」
と呆れないで。
そんな“ディアブラー”なワタクシが、2014年1月30日発売予定のプレイステーション3用ソフト『Diablo III(ディアブロ III)』に合わせて、ちょっと講釈を垂れたいと思う。なんとなんと、2週連続で!! 1週目の今回はちょっと昔を振り返りながら、『Diablo』シリーズとの思い出を語ってみたい。どうぞ読んでください。
初めて出たゲーム禁止令!
いまから16年も昔のこと。
まだ人がまばらな午前中の編集部に「うぃ~~~す……」とかなんとかテキトーな挨拶をしながら入っていくと、自分の席の真向いで同僚がモニターを睨みつけているのがわかった。お昼前に編集者の顔を見ることなど滅多になかったので俺は驚き、思わずその同僚に声を掛ける。
「おはよっす……って、林君、早いね。取材かなんかに行くの?」
そう、そこにいたのは、現・週刊ファミ通編集長の林克彦。当時は“フランソワ林”というフザケたペンネームだった。俺と彼は長年、週刊ファミ通の巻頭にある“EXPRESS”というニュースページを担当していた盟友で、付き合いはかれこれ15年以上に及ぶ。林はメガネの奥の目をちょっとだけ動かして「うっす」と応じた後、明らかに気まずそうな笑みを浮かべてこんなことを言ったのだ。
「いや……。じつはいま出社したわけじゃなく、ずっと会社にいたんですよ」
俺は驚いて、目を見開いた。
「え、マジで? 原稿でも書いてたの? そんなヤヤコシイ記事、あったっけ?」
そう言いつつ、俺はこうも思っていた。(林君が原稿に引っ掛かってる姿なんて、見たことないけどな)と。まだ若手だった当時から、彼は原稿を書くスピードも正確さも抜きん出ていて、俺と週交代でファミ通のトップ記事を書いていた。そんな林が徹夜をしてまでPCに向き合ってるのが信じられなかったのである。なので、俺は畳み掛けた。
「何の原稿を書いてるの?」
すると林は、ずっと握っていたマウスをようやく離し、いたずらを白状するような口調で俺の問いに答えたのだ。
「原稿じゃなく……ずっとゲームをやっていたんですよ(苦笑)」
ああ、なるほど。そういうわけか。ゲーム雑誌の編集者なのだから、そういうこともあるだろう。とくに攻略担当ともなれば、何日も会社に泊まり込んでデータの収集をし、記事やマップを作る……なんてことは珍しくもない。
しかし前述の通り、当時の俺たちはニュースチームにいたのだ。どちらかと言えば、「ゲームなんかやってないで取材のひとつも行ってこい!」と上司にドヤされる立場だったと言える。俺は目を見開いたまま、林に尋ねた。
「へぇ~~~……。で、何のゲーム? プレステ? サターン?」
俺が家庭用ゲーム機の名前を口にした途端、林はさらに気まずそうな顔をして一段と声のトーンを落とした。
「……『Diablo』っていう、海外の作品です。……しかも、PCのソフトでして。すんません」
俺が“ディアブロ”という単語を、初めて耳にした瞬間だった。
革新的な“MO”というジャンル
当時の俺はまったく知らなかったのだが、『Diablo』は海外で爆発的なヒットを記録しつつあったアクションRPGで、革命的なシステムを採用したことにより日本でも徐々に信者を増やしつつあったらしい。
その革命的なシステムとは、“インターネットを通じてほかのプレイヤーといっしょに冒険できる”こと。要するに“MO(マルチプレイヤーオンライン)RPG”のはしりだったわけだ。いまではすっかり当たり前のことになってしまったが、無線LANやWi-Fi、ブロードバンドという言葉すら聞いたことがなかった16年前に、アナログモデムのおっそい回線を巧みに使って“協力プレイ”をさせてくれる『Diablo』の登場は、掛け値なしにゲーム業界に一石を投じた革命的な出来事だったのだ。
林によればすでに、週刊ファミ通編集部にも“ディアブロ教”の信者が増えてきているとのことで、
「我々は夜な夜な集まってディアブロ集会を開いています。まだカルトな存在ですが、日ごとに愛好家は増えていますよ」
とドヤ顔をする。なぜ夜中に活動しているのかと言えば、家庭用ゲーム機の専門誌である週刊ファミ通の人間のくせにPCゲームにうつつを抜かしているのが「気恥ずかしい」のと、「本気で夢中になっちゃうので、業務に支障が出るから」だという。
そこまで言われて興味を持たない人間がファミ通で働いているわけもなく、俄然心をくすぐられた俺は勢い込んで林に言ったのだ。
「俺もやりたい!」と。
すると林は俺の目を見て、「残念ながら英語版しかないんですけど、それでもよければ」とニヤリ。一気に心がしぼんだ俺は、「あ、そ……。考えておく……」と言って、自分の席に戻ったのであった。
そして、「今日こそ『Diablo』を購入するか!」と考えていたある日、ちょっとした事件が起こった。週刊ファミ通編集部の全体会議で、当時編集長だった浜村通信がシブい顔でこう切り出したのだ。
「最近、本業をおろそかにして『Diablo』でばかり遊んでいる者がいると聞いた。そこで当面のあいだ、編集部で『Diablo』をすることは禁じる!」
なんと、ゲームを生業とする編集部に、前代未聞の“ゲーム禁止令”が出たのである! 俺はファミ通に籍を置いて20年近く(当時)になるが、「ゲームをやっちゃダメ」と公式にアナウンスされたのは、後にも先にもこのときだけだったと思う(いや先のことはわからんけど)。「今日からやるぞ!」と意気込んでいた俺にしたら腰砕けもいいところだったが、それとは逆に
(『Diablo』とは、それほどの影響力を持ったゲームなのか……!)
という思慕の情(?)も一気に膨れ上がった。そこで俺は、ある決意をする。
「編集部でダメなら、家にその環境を構築してやる! 絶対に『Diablo』で遊ぶんだ!!」
そして、話は冒頭にくっつく。当時にしてはそこそこ高級なデスクトップPCを買い、テレホーダイ(深夜、早朝の時間帯に限り通話料金が定額になるサービス)に加入し、『Diablo』のソフトも手に入れた。
「よおぉぉぉおおし! ようやくできるぞ『Diablo』が! 遊ぶぞぉ~~~!」
そしてソフトを起動し、さわりの数十分を遊んだだけで、俺は完全に恋に落ちてしまう。出てくる言葉はすべて英語で、意味なんて大してわからないはずなのに、『Diablo』は簡単に言葉の壁を越えて俺の心に侵入してきやがったのだのだ。
“本質的なおもしろさが極まっていれば、言葉なんて飾りに過ぎない”
ってことを、俺はこのとき教えられたのかもしれない。
なぜ『Diablo』はおもしろいのか
『Diablo』は画期的なゲームでありながら、やることはいたってシンプルだった。
クォータービューの視点で自分のキャラクターを動かし、ダンジョンをウロウロしながら敵を倒して武器や防具、アイテムなどを手に入れる--。
言ってしまえば、これだけだ。これだけなのに、多くのゲーム好きは『Diablo』の虜になった。
『Diablo』の最大の魅力であり、また功績となったのは、テレビゲームに“トレジャーハンティング”の楽しさを導入した点にある。ダンジョン内で手に入るアイテムは“無数”と言っていいほどの種類があるため(アイテムに割り振られる特殊効果と数値の組み合わせが、とてつもなく多いのだ)、プレイヤーは「誰も持っていない強力な武器を見つけるぞ! 」と躍起になって、日々ゲームに潜り続けたのである。
2000年に発売された『Diablo II』と、その拡張版である『Lord of Destruction』の影響により、『Diablo』の存在感はさらに増した。ダンジョンだけでなく、広大なフィールドにも冒険の場が広がり、選べるキャラクターの職種も5種類まで増える(拡張版でさらに2種追加)。世界的な大ヒットになったのはもちろん、満を持して日本語版も発売されたので、ここで初めて『Diablo』に触れた人も多いのではなかろうか。
しかし、日本語にローカライズされるのを待てなかった俺は、『Diablo II』も拡張版も迷うことなく英語版を購入。すでに古くなっていたPCも2台新調し、ついでに十数年ぶりに英語の辞書も買って、『Diablo II』に真っ向勝負を挑んだのだ。
そんな『Diablo II』は聞きしに勝る出来栄えで、俺は『I』のとき以上に心を奪われてしまった。どれくらい心酔したのかと言うと、シリーズの最新作である『Diablo III』(PC版)が2012年5月に発売されるまでの11年間、ひたすら『II』を遊び続けたほど(マジ)。書いていて自分でもたまげてしまうが、『Diablo』シリーズのトレジャーハンティングには文字通り底がなく、いくら掘っても掘り尽せないほどの魅力……というか魔力が備わっていたのだ。
さあそして、問題の『Diablo III』だ。PC版の現役プレイヤーである俺は、今年(2013年)のE3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ。世界最大級のゲーム見本市)の会場で並み居る新ハードを横に見ながら、真っ先にプレイステーション3版の『Diablo III』にかじりついた。そして、たっぷりと遊んでみたわけだが……!
この続きは、次回にしようかな。プレイステーション3版を遊んだ感想などを中心に書かせてもらおうと思います。お楽しみに!